真夜中の洗濯機

長期記憶にするための覚え書き

ねえ、もうすぐまた夏がくるね

先日、テアトル新宿での『花束みたいな恋をした』上映フィナーレ記念として催された、坂元裕二さんのトークショーに行ってきた。

想像よりもトークの時間がずっと長くて、ものすごく良かった。内容はあまりインターネットに書きたくないから、たま〜に書く紙の日記帳にメモしておいた。こういうイベントの話を紙に書きつけるのはほんと何年ぶりだろうか。いつも誰にも言いたくないことをこっそり書く日記帳に、同じように記録して、記憶の片隅に埋め込む。いつでも取り出せるように目印もつけた。

書きながら、いつか誰かに直接話したいなと思った。インターネットに残すんじゃなくて、口頭で残したい記憶もある。そのとき飲むものは何がいいかな。アイスコーヒーか、ジャスミンハイか。炭酸はお腹いっぱいになっちゃうから避けたい。

 

本筋でもなんでもない印象的だったことをひとつだけ書くと、きょうの参加人数は200人くらい、いいともができますね、という話から、100分の1アンケートにチャレンジし出したのがあまりにも唐突で面白かった。

坂元裕二さんが『シンガポールのビルの上のプール(たぶんマリーナベイ・サンズのこと)で写真撮ったことある?』と参加者に問いかけたところ、見事に1人手が挙がる。あれ越えようと思ったら越えられるの?と興味津々なようすの坂元裕二さん。*1

ほかにも話が思いもよらぬ方向に転がっていく瞬間が何度もあって、この脈絡のなさからあの独特の台詞回しが生まれてるんだなあ、と妙に納得した。脈絡のない話、大好き。

ちなみにマリーナベイ・サンズは、わたしの中ではもうすっかり明日花キララのイメージしかない。

 

『花束みたいな恋をした』は、公開からしばらく経ったいま観るとまた違った手触りがあった。わたしは「電車に乗っていたら」を「電車に揺られていたら」と表現するひとはたぶん苦手だし、歩きながら飲むビールは350mlじゃ足りない。500ml欲しい。ロング缶じゃないと満足できん。佐藤千亜妃が歌うようには、きのこ帝国には、そして絹ちゃんにはなれない。初見のときは1ミリも考えなかったことが脳内をビュンビュン駆け回っていて、終始うるさかったけれど、愛おしい時間に変わりはなかった。やっぱり天竺鼠のライブには何があっても行こうよ、なんで好きでもない男とご飯食べちゃうのよ絹ちゃん、と再度思った。

あと、1回目を観たあとにすぐ今村夏子『ピクニック』を読んだので、それもまた作品への理解度を上げる手助けになってよかった。あれを読んでなにも思わない人、ほんとにいるのかな。もしほんとにいたらびっくりしちゃうけど、いるんだろうなぁ、てかこの人はなにも思わないだろうなぁって人は正直なところ結構頭に浮かぶ。その残酷な事実から目を逸らしたいだけでね。そんな思想に至るわたしもまた残酷。世間にうっすら垂れ流されている残酷さによって生まれた作品だよなと思う。

 

ribboncitron.hatenablog.com

このブログを書いた当時は、好きなシーンとして『絹ちゃんが愛読していたブログ「恋愛生存率」の筆者・めいさんの死を経て麦くんと海に行くシーン』を挙げていたけれど、改めて観返すとコーヒー飲みながら家までの帰路を歩くシーンも好き。歩きながら、そして何かを飲みながらする話は、何故だか記憶に残る確率が高い。気がする。

改めて、お互いのパーソナルな部分に触れるシーンがやっぱり少ないようにも思った。意識しながら観たのでより強くそう感じた。それはカルチャーを通じてお互いのことを『理解している』と錯覚していたからなのかなと。確かに好きなカルチャーには少なからず自分の本質が滲み出るけれど、鏡ではないし、言葉を尽くさなくてもよい理由にはならないよ。深くつながる過程でうまくいかずに破綻するのなら、それまでの関係だったんだよ。これは過去の自分にも、ともすれば今を生きる自分にも言い聞かせたいこと。やっぱり好きなものを共有し合う行為って嬉しくて楽しくて、とても幸せで、その幸福感は誰しもの目を眩ませると思うから。身体に少しずつ刻むように、またここに書く。何度も書く。

 

noteやらブログやらにいろんな人が書いていた感想をたくさん読みました、と言っていた坂元裕二さん。読まれていたいな、読まれていればいいな、と、話に耳を傾けながら静かに思った。

 

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入口で渡された缶バッジ、坂元裕二さんお持ち込みの品と聞き震えた。小ロットからいける缶バッジ屋にデータ入稿するなどして、わざわざ作ってくださったのか。

家のデスクに飾って、たまに手にとっては眺めてる。また大事にしたいものが増えた。

*1:万が一の事態に備えて柵?的なものがくっ付いているらしい。タメになったねぇ〜!タメになったよぉ〜!©️もう中