真夜中の洗濯機

長期記憶にするための覚え書き

きみの文章をたべたい

 Amazonで頼んだ「文學界」が届いた。生まれてはじめて買った。今月号から松永さんのエッセイ「ミックス・テープ」が連載されるとのことで、定期購読もします。

文學界 (2020年7月号)

文學界 (2020年7月号)

  • 発売日: 2020/06/05
  • メディア: 雑誌
 

 

以前このエントリでも書いたのだけれど、『好きな人の書く文章を読む』という行為がちょっと異常なくらい好きなので、連載が決まった時は飛び上がるほどに嬉しかった。

いま読み返していて思ったけど、このエントリに貼り付けてる藤森元生さんのツイートと「ナナメの夕暮れ」とこのエッセイ、なんとなく線で繋がる気がするな。

ribboncitron.hatenablog.com

 

本文を読みながら、『この文章はもし食べたらどんな味がするだろう』と想像する。この思想、中学生のころ読んだ文学少女シリーズの影響によって生まれたものです。本当に口にできたらどんなに良いだろう?といい歳こいた今でも思う。好きな人の書く文章を、物理的に自分の血肉にできたらどんなに良いだろうか。

 読み終えて、『たぶんこの文章は、レバーとか臓物っぽい味がするんだろうな』と確信した。下手したらちょっと生臭さすら残る味わい。鼻腔を鋭く突く生の匂い。自意識の煮こごり。平らげるのに勇気すらいる。1回目からフルスロットルの生き様切り出しっぷりにもはや恐怖を覚える。2回目以降どうなっちゃうのよこれ。

いつもラジオで繰り広げているマシンガントークとは裏腹に、文章からは淡々とした印象を受けたのが意外だった。また新たな一面を知ることができて嬉しい。これだからまとまった文章を読むのはやめられない。『もっと読みたい、もっとこの人の思想を知りたい』と思わせると同時に、『簡単に消費しちゃいけない』とも感じるような、4ページいっぱいに広がる葛藤。圧巻だった。

ざっくりした内容としては、冒頭でちょろっと書いた通り「過去の自分の厳しい思想が巡り巡って今の自分に突き刺さっている」という話だったのだけれど、読みながらずっと中2の時の担任の先生に言われたことを思い浮かべていた。クラスメイト全員に嫌われているような錯覚に陥って心を病み不登校になっていたわたしに、先生はこう言った。

「他人に厳しい目を向けられていると思うのは、自分自身が他人に厳しい目を向けているからだよ」

今でも忘れられない言葉なので、ときどき頭の引き出しから取り出してはじっと眺める。他人に向けた鋭い矢は、実は誰よりも深く自分の体に刺さっている。今でもまだ抜けていない。刺さっている時間があまりにも長いのですっかり共存してしまっていたけれど、この文章のおかげで(せいで)また痛みがぶり返してきた。忘れちゃいけない痛みなんだとも気づいた。痛みを忘れず、また共存していく。

 

でも、彼が自分の生業で揺るがぬ実績をつくり上げているのは紛れもない事実なのだから、本業以外の自分も許せる日がなるべく早く訪れて欲しいな、と願わずにはいられない。本業のとき同様、真面目さとストイックさが滲み出ていて、人の心にくっきり爪痕を残す文章だと心底思った。

ていうか読み手の自意識トリガーをこんなにも強く引くような文章を書けるの、純粋にすごいと思うし羨ましい。嫉妬すら覚えるわ。

来月も読めちゃうのかこれ。大変だな。きちんと向き合って咀嚼できるように、心の余裕と容量を残しておかないと…。

 

読後にこの動画を観ると、より一層クるものがある。


DJ松永『Documentary Of DMC 〜スポットライト〜』